最終更新日:
データサイエンティストの年収は?平均年収や企業ランキング、実際の求人例や成功事例をご紹介!

データサイエンティストとは、データの分析・集計・可視化・AIモデル開発を行い、クライアントの抱えるビジネス課題をデータで解決する人を指します。近年は企業のDX推進やデータ活用が進み、あらゆる仕事においてデータサイエンティストのニーズが高まっています。そんな中、一般的に年収が高いイメージをもっている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、データサイエンティストの平均年収や年収が高い企業、求人例、年収アップの成功事例などを紹介します。
データサイエンティストとは
一般社団法人データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストは「ビジネス・データサイエンス・データエンジニアリングの3つのスキルをすべて備えた人材」と定義しています。
出典:一般社団法人データサイエンティスト協会スキル定義委員会、独立行政法人情報処理推進機構
「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説」
また外資系大手人材紹介会社のヘイズ社が調査した「2023年に需要が高まるIT職種トップ10」によると、データサイエンティストは3位にランクインしています。データサイエンスやデータ分析などの技術的な知識をもつ人材の需要は依然として高まっており、今後さらに需要が伸びていく職種といえるでしょう。
なぜデータサイエンティストは今注目されているのか?
現代においてデータサイエンティストへの注目が急速に高まっています。これは、ビジネスにおけるデータ活用の重要性が飛躍的に増しているためです。企業は膨大なデータを分析し、市場や顧客のニーズを正確に把握することで競争力を強化しようとしています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、データを活用した迅速かつ的確な意思決定や新しいビジネスモデルの構築が不可欠であり、その中核を担うデータサイエンティストが不可欠な存在となっているのです。
データサイエンティストの需要と今後の将来性
データサイエンティストの需要は、現在、国内外を問わず非常に高い状態が続いています。企業の競争力強化にはデータ活用が不可欠であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、データを分析し、そこからビジネス価値を創出できる専門家が強く求められているためです。
今後の将来性については、AI技術の目覚ましい発展が議論されることもありますが、AIがデータサイエンティストの仕事を完全に代替する可能性は低いと考えられています。むしろ、AIはデータ分析の強力なツールとなりデータサイエンティストはAIを使いこなすことで、より高度で複雑な問題解決や、人間ならではの洞察に基づいた戦略立案に注力するようになるでしょう。AIとの共存によりデータサイエンティストの役割は進化し、より専門性の高いポジションとして今後もその重要性と価値は高まっていくと予測されます。
データサイエンティストと関連職種の違い
データサイエンティストとしてのキャリアを考える上で、データアナリスト、データエンジニア、AIエンジニアといった関連職種との違いを理解することは重要です。それぞれの役割には明確な違いがあります。
データアナリスト
データアナリストは、主に既存データの分析・可視化を行い、現状のビジネス課題や傾向の把握に重点を置きます。
データエンジニア
データエンジニアは、大量のデータを収集、蓄積、加工するためのデータ基盤やパイプラインの設計・構築・運用を担います。
AIエンジニア
AIエンジニアは、機械学習や深層学習のモデル開発と、それをシステムに組み込む実装が中心的な業務です。
データサイエンティストの役割(他職種との比較)
一方、データサイエンティストは、ビジネス課題の定義から始まり、必要なデータの特定・収集、分析、モデル構築、そして分析結果に基づいた戦略提案やビジネスへの落とし込みまで、データ活用のプロセス全体に広く関与します。これらの関連職種のスキルの一部を兼ね備えつつ、より包括的にデータドリブンな意思決定や価値創造を推進する役割と言えます。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事内容は多岐にわたります。企業や業務内容によって求められる内容はさまざまですが、主に以下のような仕事内容が挙げられます。
- 担当事業の戦略に基づいた意思決定支援や、 売上・利益最大化となるデータ活用プロダクトの企画、モデル設計、実装および改善
- プロダクトにおけるWebアクセスログ、アンケート、売上、効果などのデータを用いた戦略の立案および推進
- 営業現場におけるデータ活用支援
- マーケティングにおけるコスト最適化分析
- マーケットの需要に応じた市場予測、最適化
データサイエンティストに必要なスキルと知識
データサイエンティストとして活躍するためには、幅広い分野にわたるスキルと知識の習得が不可欠です。技術的な専門性と、ビジネスへの応用力、そしてそれを推進するコミュニケーション能力が求められます。
数学・統計学の知識
データ分析の基盤となるのが数学・統計学の知識です。データの分布や相関を理解し、仮説検証や統計モデリングを行うためには、記述統計、推測統計、確率論、線形代数などの知識が必須となります。これにより、データから信頼性の高い洞察を引き出すことができます。
IT・プログラミングスキル
次に、実際にデータを操作し、分析プロセスを実行するためにはIT・プログラミングスキルが必要です。PythonやRといったデータ分析に特化した言語の習得に加え、SQLを用いたデータベース操作、クラウドサービスの利用、データ処理ライブラリやフレームワークの活用能力が求められます。
機械学習・深層学習の知識
さらに、現代のデータサイエンスにおいて中心的な役割を果たすのが機械学習・深層学習の知識です。回帰、分類、クラスタリング、時系列分析、自然言語処理、画像認識など、様々なアルゴリズムを理解し、適切なモデルを選択・構築する能力は、予測やパターンの発見に不可欠です。
データエンジニアリングスキル
分析に必要なデータを収集し、利用可能な形に前処理するためにはデータエンジニアリングスキルも重要です。データの抽出、変換、ロード(ETL)プロセスの理解や、データウェアハウス、データレイクといったデータ基盤に関する知識があると、分析の効率が格段に向上します。
ビジネス理解力・コミュニケーション能力
そして、これらの技術的なスキルをビジネスに活かすためにはビジネス理解力・コミュニケーション能力が極めて重要です。ビジネス課題を正確に定義し、データ分析によって何を目指すのかを明確にする能力、そして分析結果を非専門家にも分かりやすく伝え、データに基づいた具体的な提言を行う能力が、分析成果を実際の価値に繋げる鍵となります。
これらのスキルと知識をバランス良く習得し、組み合わせることで、データサイエンティストはデータを企業の強力な武器に変えることができるのです。
データサイエンティストの年収
各媒体で公表しているデータサイエンティストの平均年収を紹介します。各媒体のデータサイエンティストの平均年収の平均値をとると、610.5万円(2023年12月時点)となっており、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。
job tag
厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、データサイエンティストの平均年収は557.5万円でした。
参考:データサイエンティスト|厚生労働省 職業情報提供サイト job tag
求人ボックス
求人ボックスによると、データサイエンティストの平均年収は2023年12月時点で698万円でした。また、未経験の平均年収は520万円となっており、約180万円ほどの差があることが分かります。
参考:データサイエンティストの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス
doda
dodaによると、データサイエンティストの平均年収は2023年12月時点で576万円でした。1年前と比べて、平均年収は約60万円上がっています。
参考:データサイエンティストとは?仕事内容や平均年収、必要スキルなどを分かりやすく解説 |転職ならdodaエンジニア IT
アメリカのデータサイエンティストの平均年収は1,200万円
アメリカのデータサイエンティストは、年収の高い職業とされており、職業ランキングで1位を獲得しています。データサイエンティストは、アメリカで今一番稼げる職業といわれており、年収の中央値は10万8000ドル(1ドル110円換算で1,188万円)です。本場アメリカの有名大学卒であれば年収2,000万円を超える場合もあります。
データサイエンティストとしてより高年収を狙うのであれば、外資系企業も視野に入れると良いでしょう。
参考:ビジネス+IT「全米最高の職業は「データサイエンティスト」で年収1200万円 IT系は恵まれている?」
日本で年収3,000万円を提示する企業も
「第1回 デジタル時代の人材政策に関する検討会(経済産業省、令和3年2月)」によると、海外のAI・データサイエンス人材の報酬水準に合わせ、国内でも高額な報酬を提示する例があります。
NECやDeNAが新卒でも1,000万円以上を提示していたり、富士通・NTTドコモ・NTTデータ・NTTコミュニケーションズなどがAI・データサイエンス人材に3,000~4,000万円ほどの年俸を提示していることが記載されています。
データサイエンティストの年収が高い理由
データサイエンティストの年収が他の多くの職種と比較して高い水準にあるのは、主に以下の3つの理由が考えられます。
専門性と希少性の高さ
一つ目の理由は、その専門性と希少性の高さです。データサイエンスは統計学、数学、IT、ビジネスといった複数の分野にまたがる高度な知識とスキルが求められます。これらの専門性を高いレベルで兼ね備えた人材はまだ限られており、市場において希少価値が高い状況です。
ビジネスへの貢献度の大きさ
二つ目は、ビジネスへの貢献度の大きさです。データサイエンティストは、データの分析を通じてビジネス課題の解決策を提案したり、効率化や売上向上に直結するインサイトを提供したりします。その貢献が企業の利益に大きく寄与するため、高い報酬が支払われる傾向にあります。
需要に対する供給不足
三つ目は、需要に対して供給が追いついていない現状です。多くの企業がDXを推進しデータ活用を強化したいと考えていますが、データサイエンティストの育成や採用がそのペースに追いついていません。この需給のアンバランスが、データサイエンティストの市場価値、ひいては年収水準を引き上げています。
データサイエンティストは年収2000万円以上を目指せる?
データサイエンティストとして年収2000万円以上の高収入を目指すことは、十分に可能といえるでしょう。これはデータサイエンティストの専門性に対する市場評価の高さを示しています。ただし、この水準は豊富な実務経験、特定の分野における突出したスキル、そして戦略的なキャリア選択が求められるトップレベルのデータサイエンティストが到達する領域と言えます。
高年収を実現するためのキャリアパスとしては、特定の分析手法や最新技術を極めたスペシャリストとしての道を深める、チームや組織全体のデータ活用戦略を牽引するマネジメント職に就く、データ活用が高度に進んでいる大手IT企業や外資系企業、あるいは金融などの専門性の高い業界で働くといった選択肢があります。また、フリーランスとして独立し、専門スキルを活かして高単価なプロジェクトに参画することも、高収入に繋がる道の一つです。市場価値を高め続けることが、高年収への鍵となります。
データサイエンティストの年収が高い企業ランキング
ここでは、データサイエンティストの年収が高い企業TOP20を紹介します。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 株式会社キーエンス | 1,751万円 |
2位 | 東京エレクトロン株式会社 | 1,309万円 |
3位 | 野村総合研究所 | 1,225万円 |
4位 | 株式会社ベイカレントコンサルティング | 1,101万円 |
5位 | 株式会社電通国際情報サービス | 1,047万円 |
6位 | 日揮ホールディングス | 956万円 |
7位 | 第一生命ホールディングス | 951万円 |
8位 | 日立製作所 | 894万円 |
9位 | 伊藤忠テクノソリューションズ | 871万円 |
10位 | 全日本空輸 | 854万円 |
11位 | 日鉄ソリューションズ | 836万円 |
12位 | 江崎グリコ | 828万円 |
13位 | 日本電気 | 799万円 |
14位 | 富士通 | 799万円 |
15位 | DeNA | 768万円 |
16位 | BRIDGESTONE | 723万円 |
17位 | ブレインパッド | 698万円 |
18位 | TIS | 681万円 |
19位 | ハイマックス | 614万円 |
20位 | デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム | 603万円 |
出典:キャリアジャーナル「【平均年収】データサイエンティストの大手企業ランキング一覧29選 | 新卒/中途向け」
1位の株式会社キーエンスの平均年収は1,751万円と他の企業に比べて圧倒的に高いことが分かります。年収アップを狙いたい方は参考にしてみてください。
高い年収を提示するデータサイエンティストの求人例
データサイエンティストの求人では、スキルをお持ちの経験者はもちろん、未経験者でも積極的に採用するケースが増えてきています。この項目では、年収アップや高年収が狙えるデータサイエンティストの求人をピックアップして例として紹介します。
求人例1
データ分析業務に携わるデータサイエンティストの大手企業の求人です。国内トップレベルのシェアを有するサービスから日々膨大に蓄積されるデータを扱います。具体的な業務内容としては、営業現場におけるデータ活用支援やマーケティングにおけるコスト最適化分析などで、技術選定における裁量が大きいことが魅力ポイントです。
年収は500万円〜1,300万円を提示しており、スキルレベルによって高い年収を狙うことができます。数学や統計、機械学習などの基礎知識やPython・Rの経験が必須要件として挙げられています。
求人例2
マーケティングに関するビッグデータ分析やAIモデル構築などを担うデータサイエンティストの求人です。未経験者も応募可能な求人で、キャリアアップも狙うことができます。業務内容は、ビッグデータ分析やWeb行動解析や商品のニーズや最適アプローチ手法を予測する機械学習モデルの構築などです。新設の事業のため、立ち上げ期から幅広い業務に関わることで経験値を積むことができます。
年収は400万円〜1,300万円を提示しており、未経験でもスキルを高めながら、高収入を目指すことができます。
求人例3
1,000万円以上の高収入を狙えるコンサルティング経験者向けの求人です。新規事業である機械学習を活用したサブスクリプションサービスのお客様の自走的なデータ活用に向けた伴走型のご支援、社内プロジェクト立案などを担当します。自らプロジェクトの企画~実行まで行うため、お客様の売上や成果向上への貢献だけでなく、チームの活動の効率化や質の向上などチーム全体のボトムアップにも貢献できます。
年収は1,000万円〜2,000万円を提示しており、高収入は確実に狙えますが、顧客折衝やデータ分析の実務経験など高いスキルや経験値が必要となるでしょう。
データサイエンティストとして活躍が期待できる業界とは
データサイエンティストは、現代ビジネスにおいて不可欠な存在となりつつあり、その活躍の場は特定の業界に限定されません。データ活用が進む様々な業界で、ビジネス課題の解決や新たな価値創造のために重要な役割を担っています。代表的な活躍業界を見てみましょう。
IT/Web業界
インターネット関連サービスやプラットフォームを提供するIT/Web業界は、データサイエンティストの主要な活躍の場です。ユーザーの行動データやサービスの利用状況を分析し、サービスの改善、ユーザーエクスペリエンスの向上、レコメンデーション機能の最適化、マーケティング施策の効果測定などに貢献します。膨大なデータを高速に処理・分析する技術力が求められます。
金融業界
金融業界では、リスク管理、不正取引の検知、顧客の信用スコアリング、市場予測、アルゴリズム取引、資産運用戦略の策定など、高度なデータ分析が日常的に行われています。データサイエンティストは、これらの分野で複雑なモデルを構築・評価し、より安全かつ収益性の高いビジネス判断を支援します。統計学や数学の知識が特に重要視されます。
製造業界
製造業界でも、スマートファクトリー化の進展に伴いデータ活用が加速しています。製造ラインから得られるセンサーデータを分析し、製品の品質向上、歩留まりの改善、生産プロセスの最適化、設備の異常検知や故障予知などにデータサイエンティストが貢献しています。現場の知識とデータ分析を結びつける力が求められます。
その他データ活用が進む業界
上記の他、データサイエンティストは多岐にわたる業界で活躍しています。マーケティング・広告業界では、顧客分析や広告効果測定、ターゲット選定にデータを活用します。医療・ヘルスケア分野では、疾患の早期発見、診断支援、新薬開発などに貢献します。流通・小売業界では、需要予測、在庫最適化、顧客の購買行動分析にデータを活用します。交通、エネルギー、公共サービスなど、社会インフラに関わる分野でも、効率化や最適化のためにデータサイエンティストの知見が求められています。データ活用の重要性が高まるにつれて、データサイエンティストの活躍フィールドは今後さらに広がっていくでしょう。
データサイエンティストとして年収を上げる・キャリアアップする方法
データサイエンティストは専門性が高く、努力次第で年収を大幅に引き上げたり、キャリアアップを実現したりすることが可能です。ここでは、具体的な方法をいくつかご紹介します。
実績を積み、専門性を高める
担当するプロジェクトで目に見える成果を出すことが、自身の評価と市場価値を高める上で最も重要です。また、特定の分析技術(例:自然言語処理、時系列分析)や業界(例:金融、ヘルスケア)に関する知識を深く掘り下げ、その分野のエキスパートとなることで、替えの効かない存在となり高待遇に繋がりやすくなります。
最新技術やツールを習得する
データサイエンスの分野は常に進化しています。機械学習の新しいアルゴリズム、最新のクラウドサービス、効率的なデータ処理ツールなど、常に新しい技術や知識を積極的に学び、自身のスキルセットをアップデートし続けることが、変化の速いIT業界で生き抜くために不可欠であり、キャリアアップの機会を広げます。
マネジメントスキルを身につける
技術的なスキルだけでなく、プロジェクトを計画・実行し、チームメンバーを率いるマネジメントスキルも年収アップに繋がる重要な要素です。データサイエンスチームのリーダーやマネージャーといった役職に昇進することで、より責任のある立場とそれに伴う高い報酬を得られる可能性があります。
より高待遇の企業へ転職する
自身のスキルと経験を正当に評価してくれる企業へ転職することも、年収を上げる直接的な方法です。データ活用に多額の投資を行っている大手IT企業や外資系企業、あるいは金融やコンサルティングファームなど、データサイエンティストの給与水準が高い傾向にある業界・企業への転職を検討すると良いでしょう。
フリーランスとして独立する
企業に所属するのではなく、フリーランスとして独立し、専門スキルを活かしてプロジェクト単位で契約を結ぶキャリアパスもあります。高い専門性と実績があれば、会社員として働くよりも高単価で案件を受注でき、大幅な年収アップを実現できる可能性があります。ただし、案件獲得や自己管理能力が求められます。
海外でキャリアを築く
日本と比較してデータサイエンティストの平均年収が高い国(特にアメリカや欧州の一部)は多数存在します。語学力や異文化適応力は必要ですが、海外企業への転職や海外案件をリモートで受注することで、年収を大きく引き上げ、グローバルな経験を積むことができます。
これらの方法を自身のキャリア目標や状況に合わせて組み合わせることで、データサイエンティストとして着実に年収を上げ、希望するキャリアを築いていくことが可能になります。
年収アップやキャリアアップを狙うデータサイエンティストにおすすめの資格
データサイエンティストになるために必須の資格はありませんが、関連資格を取得することは、自身のスキルや知識を証明し、キャリア形成を進める上で有効な手段の一つです。
資格取得のメリット・デメリット
メリットとしては、データサイエンスに必要な知識を体系的に学べる機会となること、自身のスキルレベルを客観的に証明できるため、特に未経験からの転職活動やキャリアチェンジの際に有利に働く可能性があることが挙げられます。また、学習の目標設定となり、モチベーションの維持に繋がる効果もあります。
デメリットとしては、資格取得が直接的な実務経験に代わるものではないこと、そして学習や受験に時間と費用がかかることが挙げられます。資格はあくまでスキルの証明であり、実践力が伴って初めて真価を発揮します。
データサイエンティストに関連性の高い、おすすめの資格はいくつか存在します。
データサイエンティスト検定
一般社団法人データサイエンティスト協会が運営する「データサイエンティスト検定 リテラシーレベル」は、データサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力といった、データサイエンティストに求められる幅広い知識・スキルを網羅的に評価する入門レベルの資格です。自身の基礎力を確認するのに適しています。
統計検定
統計検定は、統計学に関する知識や活用力を評価する文部科学省認定の公的資格です。2級や1級レベルを取得することで、データ分析の土台となる統計学の確かな知識があることを証明でき、データに基づいた科学的な分析を行う上で非常に役立ちます。
G検定・E資格
G検定(ジェネラリスト検定)とE資格(エンジニア資格)は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する、AI・ディープラーニングに関する資格です。G検定はAIのビジネス活用知識、E資格はディープラーニングの実装能力を証明するため、AI関連プロジェクトに携わるデータサイエンティストにとって有用です。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonはデータ分析や機械学習分野で最も広く利用されているプログラミング言語の一つです。「Python 3 エンジニア認定基礎試験」などを取得することで、Pythonの基本的な文法やライブラリに関する知識、コーディングスキルを客観的に証明できます。
データベース関連資格
データサイエンティストは、業務でデータベースを扱う機会も多いため、データベースの設計・構築・運用に関する知識を証明する資格も役立ちます。例えば、オラクルマスターや、情報処理技術者試験のデータベーススペシャリスト試験などがあります。
資格は自身のスキルや知識を補完し、証明するための一つのツールとして捉えるのが良いでしょう。資格取得と並行して、実務経験やポートフォリオ作成にも力を入れることが、データサイエンティストとしてのキャリアを築く上で重要です。
未経験からデータサイエンティストになるには?
未経験からデータサイエンティストを目指すことは、簡単ではありませんが、適切な準備と努力をもって臨めば十分に実現可能です。計画的に学習を進め、必要なスキルを習得していくことが成功への鍵となります。
必要な学習ステップ
未経験からデータサイエンティストになるためには、多岐にわたるスキル・知識の習得が必要です。具体的には、データ分析の基礎となる統計学や数学、データ処理・分析に必要なプログラミングスキル(PythonやRなど)、機械学習や深層学習の理論と実装、そしてビジネス課題を理解する力などが挙げられます。これらの知識を体系的に学び、実際にデータを扱って分析を行う実践的な演習を繰り返すことが重要です。学習の成果を示すポートフォリオの作成も目指しましょう。
独学で知識・スキルを習得する方法
スクールに通う以外にも、独学でデータサイエンスの知識・スキルを習得する方法は多数あります。Coursera、Udemy、edXといったオンライン学習プラットフォームでは、世界中の大学や専門機関が提供するデータサイエンスや関連技術の講座を自宅で受講できます。また、専門書籍で基礎から応用まで体系的に学んだり、Kaggleのようなデータ分析コンペティションに参加して実践的なスキルを磨いたりすることも有効です。公開されているデータセットを使って自分で分析プロジェクトを行うのも良い練習になります。
関連職種(エンジニア、アナリスト等)からのキャリアチェンジ
既にITエンジニア、データアナリスト、統計解析担当者など、データサイエンスと関連性の高い職種で実務経験がある場合、そこからデータサイエンティストへのキャリアチェンジを目指すのは比較的スムーズなルートの一つです。現職でデータ分析に関わる機会を積極的に作ったり、業務で不足しているデータサイエンスの専門知識(機械学習など)やスキルを学習・補強したりすることで、データサイエンティストへのステップアップを目指します。これまでの実務経験が活かせるため、自身の強みをアピールしやすいでしょう。
未経験からの転職活動においては、単に知識があるだけでなく、データサイエンスへの強い学習意欲と、実際に手を動かして分析した経験を示すポートフォリオが非常に重要なアピールポイントとなります。
データサイエンティスト年収アップ成功事例
実際にデータサイエンティストとして、年収アップの転職に成功した事例をご紹介します。
30代前半の男性は大規模ECサイト企業でデータサイエンティストとして働いていましたが、データサイエンスに対する評価が低い環境で自身の実績が待遇に反映されないことをきっかけに、転職活動を始めました。
最終的に大手外資系コンサルティングファームのデータサイエンティストとして転職し、300万円の年収アップ(年収580万円→880万円)に成功しました。
データサイエンティストのキャリアの方向性
データサイエンティストは企業の規模や業態によってキャリアの方向性が変わってきます。自分がやりたいことやなりたい姿、求める条件などを明確にし、合致したり近しい求人を日々リサーチしていくことが大切です。その上で、企業から求められることや今足りていないスキルなどを着実に獲得し、納得のいく転職活動を目指しましょう。
図:スキルアップAIgentで作成したキャリアの方向性の例
実態を知りたいならまずはエージェントへ相談するのがおすすめ
さまざまな媒体がある中で、どれを選べばいいのか、自分の強みをどう活かしてどうアピールすればいいのか分からない方も多いかもしれません。まずは採用市場の実態を知り、自身のキャリアやスキルを活かして効率的に転職活動したいという方は転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントは企業や求人情報に詳しいだけでなく、企業へのアピール方法などさまざまなノウハウを持っており、転職希望者のキャリアの志向性やこれまでの経験に合わせてアドバイスしたりすることができます。
スキルアップAIgentはAI・データ・デジタル人材の転職支援に特化した充実したサポート体制を有した転職エージェントです。データサイエンティストやAIエンジニア(機械学習エンジニア)などの職種をはじめとした、AI開発・データ分析求人に基づいた転職サポートをしています。例えば、以下のようにキャリアの志向性やこれまでの経験に合わせてお話したりアドバイスしたりすることができます。
- AI/データ/デジタルの優良求人が豊富
- 講座提供を通じたスキルアップのアドバイスも可能
- 現場経験者や有資格者のキャリアアドバイザーが、実務目線で転職をサポート
面談では、あなたのスキル・ご志向やご経歴をヒアリングし、キャリアプランの整理をお手伝いします。ぜひ一度ご相談したいという方は、まずは以下のページで詳細をご確認ください。
AI求人特化型転職支援サービス スキルアップAIgent
まとめ
この記事では、データサイエンティストという職種について、その定義や仕事内容から、必要とされるスキル、年収事情、そして目指し方やキャリアパスまで、幅広く解説してきました。
データサイエンティストの大きな魅力は、データ分析を通じてビジネスや社会の課題解決に貢献できるというやりがいです。常に新しい技術や知識に触れ、自身の専門性を高めていける知的な面白さもあります。また、高度なスキルと市場での高い需要に支えられた、安定したキャリアと高収入を目指せる可能性も魅力です。
キャリアパスも、技術を深めるスペシャリスト、チームや組織を牽引するマネージャー、あるいは独立して自由に働くフリーランスやグローバルに活躍する道など、多様な選択肢が開かれています。データ活用の重要性がますます高まる現代において、データサイエンティストは将来性が非常に高く、大きな可能性を秘めた魅力的な職業と言えるでしょう。
公開日: